基礎知識

【完全解説】「ヘンプ」と「マリファナ」の違いとは?

同じ大麻草であるのに、ヘンプやマリファナと呼び方が異なることがあり、イマイチ違いがわからない方も多いと思います。

この記事では、ヘンプとマリファナの違いを徹底的に解説します。

ヘンプとマリファナに関して

2つの違いを端的に答えると

ヘンプはTHCが少なく、CBDが豊富で、産業用途や医療目的で使用されることが多い。一方、マリファナはTHCが多く、主に医療的・嗜好品的な目的で使用されます。

上の図は、米国の団体であるカンナビス・ネットが大麻の名称をまとめた図です。

元の大麻をカンナビスと呼び、ヘンプとマリファナの2種類の品種に派生します。品種の違いは、THC成分の割合が0.3%以下の品種を「ヘンプ」、20%を超えるものを「マリファナ」と区別します。場合によっては、用途によって区別することもあり、繊維や食品利用を「ヘンプ」、医療や嗜好品を「マリファナ(カンナビス)」と呼ぶことがあります。

ヘンプとマリファナを区別することにおいて、重要となる成分である「THC」と「CBD」に関しても、簡単に説明していきます。

THC

THC(テトラヒドロカンナビノール)は、大麻植物に存在するカンナビノイドの一種であり、その中でも最も有名な成分のひとつです。THCは、大麻植物の花や葉に最も多く含まれており、大麻の中で最も強い精神作用を引き起こす物質の一つとされています。

そのため、日本ではTHCは規制対象成分であり、嗜好品としての使用は禁止されています。絶対に使用はやめましょう。

【効果・メカニズム】

THCは、人体内に存在する内因性カンナビノイドと同様に、人体内のエンドカンナビノイド受容体(CB1受容体、CB2受容体)と結合して作用します。特に、CB1受容体に作用することによって、脳や神経系に影響を与え、精神作用や痛みの緩和、食欲の促進などの効果を引き起こします。

一般的には、THCが多く含まれているマリファナを摂取することで、摂取者はリラックス感や幸福感を感じることができます。しかし、THCの摂取量が過剰になると、幻覚や不安、心拍数の上昇、または認知機能の低下などの副作用を引き起こすことがあります。

【用途】

医療的には、THCは痛みの緩和や吐き気の改善などに役立つことがあります。医療大麻が認められている地域では、THC含有量が高いマリファナを医療目的で処方されることがあります。ただし、THCは薬物乱用につながる可能性があるため、医療目的以外での使用は法的に禁止されています。

米国では、医療用大麻も嗜好用大麻も規制下において、使用が認められています。一方日本では、医療用大麻のみ解禁するために法改正案がでると言われています。

CBD

CBD(カンナビジオール)は、大麻植物に存在するカンナビノイドの一種であり、THCと並んで最も有名なカンナビノイドのひとつです。THCとは異なり、CBDは精神作用を引き起こすことがなく、医療や健康製品として注目を集めています。

【効果・メカニズム】

CBDは、大麻植物の花や葉に含まれていますが、THCとは異なり、CBDには精神作用がないため、医療や健康製品に利用される大麻品種に多く含まれています。また、THCとは異なり、CBDは合法的に認められている地域では、医療目的で処方されることがあります。

CBDは、人体内に存在する内因性カンナビノイドと同様に、人体内のエンドカンナビノイド受容体(CB1受容体、CB2受容体)と結合して作用します。特に、CB2受容体に作用することによって、免疫系や痛み、炎症などに対する抗炎症作用を持つことが知られています。

【用途】

医療目的

CBDの医療的な利用には、抗不安作用、抗炎症作用、抗てんかん作用、疼痛緩和作用、抗精神病作用などがあります。例えば、CBDは、てんかんや不安障害、自閉症スペクトラム障害、うつ病、睡眠障害、慢性疼痛、炎症性疾患、神経変性疾患などの治療に役立つことが報告されています。

健康・美容目的

CBDは、さまざまな形態で市販されており、オイル、カプセル、クリーム、ローション、飲料、食品などがあります。医療大麻が合法的に認められている地域では、CBD含有量が高い大麻製品が医療目的で処方されることがあります。

ただし、CBDは効果に個人差があるため、使用する前に医師や専門家に相談することが重要です。また、CBDは、他の医薬品との相互作用がある場合があるため、医師の指示に従って使用してください。

ヘンプとマリファナの違い

ヘンプとマリファナは、どちらも大麻植物に属する植物ですが、その栽培、化学組成、法的ステータス、および医療的およびレクリエーション的使用において、重要な違いがあります。以下では、ヘンプとマリファナの主な違いについて詳しく説明します。

【栽培に関して】

ヘンプとマリファナは同じ大麻属に属していますが、栽培方法において大きな違いがあります。ヘンプは、高さが4メートル以下で、繊維、種子、および花穂を収穫することを目的とした産業用作物として栽培されます。マリファナは、葉と花を収穫するために栽培されます。そのため、マリファナは大きく、茂る植物で、花穂の生産に重点が置かれます。

【化学組成】

ヘンプとマリファナの化学組成も異なります。ヘンプは、THC(テトラヒドロカンナビノール)濃度が0.3%以下で、CBD(カンナビジオール)濃度が高いことが特徴です。一方、マリファナは、THC濃度が0.3%よりも高く、CBD濃度が低いことが一般的です。THCは、マリファナの主要な精神活性物質であり、高濃度では幻覚作用があります。CBDは、THCとは異なり、精神活性作用はほとんどありません。

【法的な違い】

ヘンプとマリファナの法的ステータスも大きく異なります。多くの国では、THC濃度が0.3%以下のヘンプは、産業用途で合法的に栽培され、製造され、販売されています。一方、マリファナは、THC濃度が高いため、大麻規制法の対象となり、合法的な使用には厳しい制限があります。ただし、米国など、いくつかの国や州では、マリファナの医療的またはレクリエーション的使用が合法化されています。

【医療的用途】

ヘンプとマリファナは、医療的およびレクリエーション的使用においても異なります。ヘンプは、CBDが豊富で、医療的には、痛み、不安、睡眠障害、てんかん、そして自閉症スペクトラム障害などの症状を緩和するために使用されることがあります。また、ヘンプは、健康食品や化粧品など、様々な産業で使用されています。

一方、マリファナは、主に医療的およびレクリエーション的な目的で使用されます。医療的には、マリファナは緩和ケアや神経系疾患の治療に使用されることがあります。レクリエーション的には、マリファナはTHCの精神活性作用を楽しむために使用されることがあります。

【工業的用途】

ヘンプ素材は「環境に優しく、サスティナブルな自然素材」として注目を集めています。育成条件が少なく育てやすく、植物全体を様々な用途で使える点も優れています。

ヘンプ素材の特徴として、強度が高い、調湿性がある、UVカット効果、抗菌消臭効果といった様々な強みがあります。また、CO2の吸収量が高いため環境にも良いとされています。

また、ヘンプとマリファナは、それぞれ異なる製品も持っています。ヘンプ製品には、衣料品、建材、紙、繊維、プラスチック、石鹸、ローション、シャンプー、コンディショナーなどがあります。マリファナ製品には、タバコ代替品、食品、飲料、オイル、軟膏、蒸気の吸入器具などがあります。

オイルに関して、ヘンプシードオイルとCBDオイルの違いに関して解説している記事があるので、興味がある方はぜひ読んでみてください。

ヘンプと日本の歴史

日本とヘンプの歴史はかなり古く、縄文時代には広域に生育されており、縄文土器の縄目模様は麻縄を使ってつけたと考えられています。

また、神社のしめ縄や和弓の弦、下駄の鼻緒、麻縄・紐・糸など日常に中で利用されました。横綱が締める縄も麻でできています。

しかし、1948年に大麻取締法が制定せれ、ヘンプを取扱うためには許可が必要となりました。ヘンプ栽培者免許者数が最も多かった時は、1950年台で約3万5千人を超えていました。

しかし、化学繊維が台頭し、衣料原料のニーズ変化が起こり、2016年には登録者数は37人にまで激減しました。

今後、ヘンプの利用価値などが改めて、発掘されることによって生産量が回復する可能性があるかもしれません。

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